

第25回「日本人の知らない日本語」蛇蔵&海野凪子
日本語を外から眺めてみよう
ここでクイズ!
「親切」という言葉はなぜ「親を切る」と書くのか?
正解は一番下で。
私は以前塾講師をしてまして、専門は地理歴史だったのですが「チミィ〜3教科くらいはやってくれないと困るよ〜」と言われ国語と数学(というか算数)も教えてました。
で、国語は受験国語なので、基本的には文の要旨は何かという読解がメインだったのですが、文法も教えなくてはいけません。頭からすっかり抜け落ちてた国語文法を改めて勉強してみると、これがなかなか奥深いものでした。
例えば助詞を学べば、日本語は順番などは適当でも、助詞さえ適切なものを選べれば文章として成立するあたり、順番ガッチリの英語よりは構造がユルいと分かったり。でも学校の先生もやはりこの辺は苦手と見えるらしく、あまり授業しないで終わったという生徒もいました。
普段使っているからこそあまり意識されない日本語。これを客観的に見直す機会というのは、実は日本人が一番少ないかもしれません。なにせ外国人が日本語を勉強しようと思えば、客観的な視点からにならざるを得ませんからね。
ということで今回は蛇蔵&海野凪子「日本人の知らない日本語」をご紹介します。
この本は、日本語学校で外国人に日本語を教えている海野凪子さんの目を通じて、外国人生徒たちとの授業や日常を描いた漫画です。
日本語を教えるということは、ただ言語を教えるだけでなく、言語の背景となる文化も教えるという事に他なりません。
例えば漢字には「音読み」「訓読み」というものがあります。なぜこんな沢山の読み方があるのか?これを知るためには「中国から伝来した文字を日本は使っている」という歴史を知る必要があります。そのうえで、「漢字の中国発音=音読み」「漢字の日本語での発音=訓読み」ということを理解すれば、読み方を覚える時にも役立つでしょう。
この本の面白いところは、そこに外国人的な視点が入ってくる事です。
音読み訓読みの話を聞いた中国人留学生が「じゃあなぜ中国と意味が全然違う漢字があるのですか?」と質問します。「鮪」という漢字は日本ではマグロを指しますが、中国ではチョウザメ(卵はキャビア)のことを指します。それに海野先生はどう答えたか?
日本に漢字が入りはじめたころ
「中国の本によく出てくる「鮪」って魚、何だと思う?」
「描写からしてかなりでかいぞ」
「でかくて珍重される魚っていったら」
「マグロだな」
「きっとそうだ!鮪はマグロに決定」
「…と推測で決めたから」
「適当すぎる!」
「それを私に言われても」
(昔の日本人、海野凪子、中国人留学生「日本人の知らない日本語」蛇蔵&海野凪子)
と、このように分かりやすく解説してくれます。
日本語について客観的に見るという事は、日本文化を客観的に見直すということでもあり、客観的な目で日本を見ている外国人や外国語について考えるということでもあります。
よくあるエッセー調漫画とはひと味ちがう、多様な視点を提供してくれる漫画です。
オススメです!
親切
漢字の元々の意味
「親」=「近しい人」
「切」=「ぴたりとあう」(「適切」の切もこの意味)
からきたものです
親は切らないで!!
(「日本人の知らない日本語」蛇蔵&海野凪子)